別れさせ屋は、非常に違法性の高いビジネスです。詐欺の可能性も高く、利用は慎重になるべきだといえるでしょう。別れさせ屋は、自社のことを「探偵」と名乗っていることもあります。しかし、探偵と別れさせ屋は明確に違うのです。今回は、別れさせ屋について、その違法性と、探偵との違いについてまとめていきます。
目次
別れさせ屋とは？
別れさせ屋とは、
「夫（妻）と不倫相手を別れさせたい」
「夫（妻）と離婚するために浮気の事実をでっちあげたい」
といった、「別れ」に関する要望を多額の現金を貰い受けることで叶える業者です。
不倫カップルや夫婦を別れさせるために、別れさせ屋はさまざまな工作を行います。肉体関係を伴う工作を行うことが多くありますが、別れさせ工作の一環でターゲットと肉体関係を結ぶことは、基本的に違法となります。
「尾行」や「張り込み」を行うこともあります。尾行や張り込みは、許可を貰った業者が行わないと法律違反となる行為です。そのため、別れさせ屋は探偵業法に則り公安委員会から「探偵業届出証明書」の交付を受けています。
探偵が行う浮気調査との違い
探偵業届出証明書の交付を受けていても、探偵と別れさせ屋は明確に異なります。探偵が行う「調査」は、浮気の事実をありのままに撮影し、証拠としてあなたに提出しますが、別れさせ屋が行う「工作」は、異性の工作員が浮気相手としてターゲットに近づき、二人でホテルに入る様子を別の工作員が撮影するという手口をとります。
今現在起こっている浮気を撮影するか、浮気をでっち上げて撮影するか、の違いがあるのです。
なぜ「別れさせ屋」を利用する人がいるの？
では、このように違法性の高い別れさせ屋を、なぜ利用する人がいるのでしょうか。ここからは、人がなぜ別れさせ屋を利用するのか、その理由を解説していきます。
離婚の慰謝料が確実に欲しい
別れさせ屋を利用する人は、離婚の慰謝料が確実に欲しい、できるだけ多く欲しいと考えています。そのため、ターゲットと工作員がラブホテルに出入りする様子をとらえた写真を絶対に手に入れたくなるのです。なぜなら、ラブホテルへの出入りを撮影した写真は、離婚調停のときに浮気を決定づける何よりも強い証拠となるからです。
別れさせ屋は表向きでは「法律を犯さない」といっていますが、ラブホテルに入ってなにもしないで出てくることは、一般的に考えてなかなか難しいのではないでしょうか。先ほども記載したように、ターゲットと工作員が肉体関係を持ってしまうと、それは法律違反です。
離婚の慰謝料が確実に欲しいから、どうしてもラブホテルへの出入りの写真が欲しく、手に入れられるのであれば手段をいとわない。法律違反をする危険性を犯してまで、決定的な証拠を欲しいと思う人が、別れさせ屋を利用するのです。
ターゲットに対して恨みがある
また、ターゲットとなる配偶者に対して恨みがある人も、別れさせ屋を利用することがあります。100％配偶者のせいにして離婚をしたい、さらに浮気の事実をでっちあげて不幸にしたいという思いから別れさせ屋を利用するのです。別れさせ屋を利用すれば、配偶者が実際に浮気をしていてもしていなくても、「浮気をしていた夫（妻）」を仕立て上げることができると考えるのです。
しかし、別れさせ屋の仕事は必ずうまくいくわけではありません。しかも、別れさせ屋を利用すること自体に大きなリスクがあるのです。
別れさせ屋を利用するリスク
別れさせ屋を利用するリスクは、どのようなものがあるのでしょうか。
- 法的に認められていない行為である
- 依頼料金が高額である
では、ここから詳しく内容を見ていきましょう。
法的に認められていない行為である
別れさせ屋の営業に関して、「刑事、民事両面で違法性が高く野放しにしてはいけないビジネス」と弁護士がコメントしているケースもあります。確かに、別れさせ屋の手法は多くの面において違法性が高く、法的に認められていない行為だといえるでしょう。
また、日本調査業協会、東京都調査業協会では、別れさせ屋に関する業務を全面的に禁止しています。探偵業の範疇にない業務を行わなければいけないことと、業務においてトラブルがあまりにも多く発生することが理由です。俗にいう「まとも」な探偵であれば、知っていて当たり前でしょう。探偵と別れさせ屋が全く違う業種であることが、このことからも分かります。
過去には殺人事件に発展したケースも
過去には、別れさせ屋が関わった案件で殺人事件が発生してしまったこともあります。別れさせ屋の男が、他の工作員にラブホテルに入る写真を撮らせ離婚を成立させましたが、その後別れさせ工作が女性にバレ、争いの末女性を殺害した事件です。
別れさせ屋には、このような重大で凶悪な事件が起こりうる可能性もあるのです。
依頼料金が高額である
別れさせ屋の最大のリスクは、依頼料金が非常に高額であることです。一番安いプランでも65万円、最も高いもので450万円もの費用がかかります。それに加えて、成功報酬や諸経費などを追加請求させることを考えると、あまりにも高い金額を支払うこととなるでしょう。
先述の通り依頼が必ずしも成功するとは限りません。失敗したとしてもお金が戻ってくることはないでしょう。また、別れさせ屋は、詐欺を行っている業者も多いことが知られており、高い報酬だけを巻き上げてなにもしないことも考えられます。パートナーも、お金も、なにもかも失うことになるのです。
結論：探偵と別れさせ屋は全く別物！
ここまで説明してきた通り、探偵と別れさせ屋は全くの別物であること、お分かりいただけたかと思います。一部の別れさせ屋は、自社のことを「探偵」と名乗っていることもあります。しかし、それは「本物の探偵」ではなく、「探偵業届出証明書の交付を受けている別れさせ屋」です。ここの違いを理解せずに、探偵業届出証明書の交付を受けているから信頼できる、と考えてしまっては危険です。別れさせ屋を利用したい、と思ったら、まずは信頼できる探偵に相談をすることをおすすめします。
調査能力が高い探偵に依頼して解決
別れさせ屋が工作員を使うのは、浮気調査のスキルがないからです。はじめから工作員をあてがってしまえば、どこのラブホテルに、いつ、どのような恰好をして入るかなんて手に取るように分かります。それが違法であったとしても、別れさせ屋はそれしかラブホテルに入る写真を撮る術がないのです。
調査能力が高い探偵は、工作員をあてがわなくても、独自の調査方法でラブホテルに入る写真を撮影します。もちろん法律の範囲内で、公序良俗に反しない方法を用います。
【探偵の浮気調査】依頼料金の相場
探偵の依頼料金の相場は、内容によって大きく異なります。大体、10万円〜100万円前後が妥当です。以下にて、相談内容と料金の目安を箇条書きにします。
- 浮気をしているかどうか知りたい：10万円～20万円前後
- 配偶者に慰謝料請求をしたい：30万円～40万円前後
- 浮気相手に慰謝料を請求したい：50万円以上
別れさせ屋の65万円〜450万円以上と比べると、探偵の方が安く依頼ができることが分かります。
探偵による浮気調査の相場に関してはこちらの記事でも詳しく解説しています。
お試しプランや予算の相談も可能
探偵事務所によっては、お試しプランを用意しているところもあります。お試しプランとは、探偵に相談するのをさまざまな理由でためらっている人に対して、安い値段と短い時間のプランを提示し、まずは探偵の調査がどのようなものか体験してもらうものです。たとえば、1日3時間だけ、調査員1名に対して値段が1万円以下というプランがあります。本格的な依頼をするまえに、様子を知ることができるため、調査依頼を迷っている人にピッタリなプランです。
また、予算が限られており依頼をためらっている人に対する相談を行っている探偵社もあります。お試しプランや予算の相談など、賢く利用して探偵を使ってみてはいかがでしょうか。
【探偵の浮気調査】調査の方法
ではここからは、探偵がどのようにして調査を行うのかを解説していきます。探偵は、以下のような方法で調査を行います。
- 尾行
- 張り込み
- 証拠の撮影
では、詳しく内容を見ていきましょう。
尾行
まずは探偵の代表的な業務である「尾行」です。さまざまなテクニックと経験が必要な、難しい業務であるといえるでしょう。ターゲットに怪しまれず、かつ見失わない距離感を保つことは、素人ではなかなか真似できません。ターゲットが急に振り返ったり、タクシーや新幹線に乗ったり、予測できない行動をとった場合も冷静に対処し、尾行を続けるのです。
一般的に尾行は、2名以上の調査員が業務に当たります。1名で尾行をしていると、変装をしたとしてもターゲットの印象に残りやすく、バレてしまう可能性が上がるからです。また、お手洗いなどでどうしてもその場を離れなければならないときに、1名の調査員しかいないと尾行を中断しなければいけなくなってしまいます。そのようなことを避けるため、調査員は2名以上いるのです。
張り込み
続いては、張り込みです。張り込みとは、一定の場所から動かず、そこから見えるターゲットの様子を観察することをいいます。張り込みには、まず事前調査が重要です。どのようなところで張り込みをするのかを決定し、そこに長時間いるためのストーリーを考えます。これは、近隣の人に「あなたはなぜここにいるのか」と聞かれたときにスムーズに答えられるためでもあり、ターゲットにより怪しまれないためでもあります。
車の中で張り込みをする場合は、真冬や真夏でも車のエンジンを切る必要があります。エンジンがついているのに長時間停止している車は怪しく思われるからです。窓にシートを貼った車の後部座席で、じっと息をひそめてターゲットの動きを観察します。この他にも、たくさんのテクニックを用いて、探偵は張り込みをするのです。
証拠の撮影
探偵の調査で、最も重要性が高いのが「証拠の撮影」です。どんなに巧妙に尾行や張り込みをしても、証拠の写真を撮影できなければ意味がありません。とくに浮気相手との肉体関係を証明する写真は、裁判時に非常に強い証拠として働きます。肉体関係を証明する写真とは、パートナーと浮気相手がラブホテルに入る写真、そして出る写真のことです。路上で手をつないでいたり、キスをしていたりする写真は、浮気の証拠とはなりますが、裁判で使える肉体関係を証明する証拠とはなりません。
ラブホテルから入る写真と出る写真が必要なのは、写真に打刻された時間を見て、ラブホテルの大まかな滞在時間が分かるからです。どちらか片方の写真だけであれば、ラブホテルには入ったがすぐに出たと言い訳をされてしまう可能性もあります。そのため、写真には正確な時刻を打刻する必要があるのです。
【探偵の浮気調査】高い安全性
探偵は、「探偵業法」という法律の中で業務を行います。探偵業法とは、探偵が行える業務の範囲を定めた法律のことです。探偵の業務に関してトラブルの横行を防ぎ、探偵の業務を適性化させるため、平成19年6月1日に施行されました。探偵業法があるからこそ、尾行や張り込みを合法として行うことができるのです。
このように、探偵の業務は厳格に法律で決められています。その範囲内で調査を行うからこそ、違法性のない浮気調査を行うことができるのです。
別れさせ屋の利用を検討したら、まずは探偵に相談
別れさせ屋を利用したい、別れさせ屋を利用するほどの恨みをパートナーに対して覚えているあなた。まずは、別れさせ屋ではなく、探偵に相談をしてみてはいかがでしょうか。
本記事で紹介してきたように、別れさせ屋は違法性の高いビジネスです。その多くが詐欺で、暴力団のフロント企業となっていることもあります。法外なお金を払って別れさせることに成功したとしても、あなたに残るものは一体なんなのでしょう。
別れさせ屋を利用するより探偵を雇って、法律の範囲内で浮気の証拠集めをすることをおすすめします。より確実に、そして低価格で、裁判で勝てる証拠を手に入れることができるでしょう。
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まとめ
別れさせ屋は、「工作」という手法をもってターゲットと浮気相手を別れさせます。しかし、その「工作」自体が非常に違法性が高く、法律をひとつも破らずに工作を成功させることは至難の業だといえるのです。
成功するか分からない別れさせ屋に多額の現金を支払うより、確かな「調査」の腕をもつ探偵に浮気調査を依頼してみてはいかがでしょうか。別れさせ屋に工作を頼むより、安く、安全に、確実に浮気の証拠を捕まえてくれるでしょう。
