「まさかあの人が…」。信頼していた従業員に不正の疑いが発覚したとき、多くの経営者や管理職はそう感じます。しかし、その“まさか”は、いつ、どの会社で起こっても不思議ではありません。
従業員の不正行為は、企業の信用失墜、法的リスク、そして何より経営の根幹を揺るがしかねない重大な問題です。特に、情報漏洩や横領といった悪質なケースは、企業の存続そのものに関わるリスクとなります。
本記事では、従業員に不正の懸念がある企業様向けに、不正の典型的な事例から不正を未然に防ぐ方法、さらに発覚後に適切に対処するための調査の鉄則を、元刑事の視点を交えて詳しく解説します。このページが、貴社の健全なリスク管理の一助となれば幸いです。
目次
なぜ、あなたの会社は「不正」の標的になるのか?
「うちの社員は真面目だから大丈夫」と安易に考えていませんか? 残念ながら、不正は特定の会社や人物に限定して起こるわけではありません。不正会計研究者ドナルド・R・クレッシーが提唱した「不正のトライアングル」は、不正が起こる3つの要素を分かりやすく示しています。
- 動機(Motive): 借金、浪費、病気の家族、ギャンブルなど、不正を働くきっかけとなる金銭的な切迫感や個人的な理由。
- 機会(Opportunity): 内部統制の甘さ、監視の目のなさ、職務権限の集中など、不正を実行できる環境。
- 正当化(Rationalization): 「これくらいならバレないだろう」「自分は会社に貢献しているから」「会社の金だから…」など、自らの行為を正当化する考え。
これらの要素が揃うと、人は不正に手を染めやすくなります。特に、従業員数の増加やリモートワークの普及は、不正を監視する機会を減らし、「機会」の要素を増大させていると言えるでしょう。
コロナ禍でリモートワークを基本とする企業も増えました。そういった社会情勢からも不正は増加傾向にあります。
従業員不正の主な種類と事例
不正と一口に言っても、その手口は多岐にわたります。ここでは、探偵事務所に寄せられることの多い代表的な事例を紹介します。
金銭的な不正(横領、着服)
最も古典的で、かつ企業に直接的な損害を与える不正です。
・経理担当者による横領
小口現金や売上金を着服し、帳簿を改ざんする。取引先の請求書を水増しし、差額を着服する。
・営業担当者による着服
顧客から直接集金した代金を会社の口座に入れず、個人で着服する。架空の出張費や交際費を請求する。
情報に関する不正(情報漏洩、機密情報持ち出し)
企業の競争力を直接的に脅かす不正です。退職者が競合他社へ転職する際に顧客リストを持ち出したり、営業秘密を漏らしたりするケースが多発しています。
・技術開発者による情報持ち出し
自社が長年かけて開発した技術情報を、USBメモリやクラウドサービス経由で持ち出し、退職後に競合他社で利用する。
・カスタマーサポート担当者による顧客情報漏洩
顧客の個人情報を名簿業者に売却したり、SNSで不用意に公開したりする。
勤務態度・経歴に関する不正
業務効率の低下や企業イメージの毀損に繋がる不正です。
・タイムカードの不正打刻
同僚にタイムカードの不正打刻を依頼し、実態のない残業代を請求する。
・経歴詐称
最終学歴や職務経歴を偽って入社し、本来のスキルや経験がないために業務に支障をきたす。
・副業禁止規定違反
会社に無断で副業を行い、本業がおろそかになる、あるいは副業で得た情報が流出するリスクを抱える。
ハラスメント
セクハラ、パワハラ、モラハラなど、従業員の心理的安全性を脅かし、訴訟や人材流出に繋がる不正行為です。被害者が声を上げにくいケースが多く、潜在的なリスクとして見過ごされがちです。
「まさか」を「もしも」に変える! 従業員不正調査の鉄則
では、実際に不正の兆候が見られた場合、どうすればいいのでしょうか。刑事裁判においては「疑わしきは罰せず」という言葉がありますが、企業経営においては、小さな疑念を見逃さないことが危機管理の第一歩となります。
探偵事務所に不正調査を依頼する際の主なステップと、その際の注意点を解説します。
STEP 1: 兆候の特定と情報収集
「あの部署の売上が不自然に伸びている」「特定の社員だけ残業時間が異常に多い」「顧客からのクレームが頻発している」など、不正の兆候は社内のデータや従業員の言動に現れます。
- 内部告発: 匿名での情報提供など、内部告発窓口を設けることが有効です。
- データ分析: 経費精算データ、入出金履歴、PCのログなどを分析し、不審な点を洗い出します。
- 周囲へのヒアリング: 慎重に、かつ守秘義務を徹底して、関係者から情報を収集します。
この段階で最も重要なのは、「対象者に気づかれないこと」です。安易に聞き込みをしたり、PCを調べたりすると、証拠隠滅や口裏合わせを許してしまうことになります。
STEP 2: 証拠の確保
不正の疑いが強まったら、決定的な証拠を確保する必要があります。この段階から、専門家である探偵の出番です。
- 行動調査: 対象者の勤務時間外の行動を把握し、不正な副業の有無、反社会勢力との関わりなどを確認します。
- デジタル・フォレンジック: 対象者のPCやスマートフォンから、削除されたデータやメール、Web閲覧履歴などを復元・分析し、不正の証拠を見つけ出します。
- 潜入調査: 内部事情を把握している探偵が従業員を装って潜入し、不正の状況を内部から探る。
証拠の確保には、法的有効性があることが不可欠です。 違法な方法で収集された証拠は、裁判で採用されない可能性があるばかりか、逆に企業側が訴えられるリスクさえあります。
STEP 3: 専門家による報告と解決策の提示
調査によって不正の事実と証拠が固まったら、報告書が作成されます。この報告書には、不正の全容、関与者、被害額など今後の法的措置に必要な情報が詳細にまとめられます。 探偵事務所は、不正の再発防止策や、社内規程の見直しについてもアドバイスを提供します。
不正調査は、適法性を確保しつつ、法的に有効な証拠を迅速に確保することが非常に重要です。 そのため、専門家である探偵事務所に依頼するべきなのです。
不正調査にかかる費用と期間の目安
不正調査の費用や期間は、調査の難易度や内容によって大きく変動します。
- 費用: 調査員の稼働時間や人数、使用する機材(デジタル・フォレンジックなど)によって異なります。時間単価制、または固定費用制でご提案します。
- 期間: 行動調査であれば数日から数週間、より複雑な不正で潜入調査などが必要な場合は1ヶ月以上かかることもあります。
まずはご相談いただき、不正の内容や目的を詳しくお伺いした上で、最適なプランと見積もりをご提案させていただきます。
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なぜ、元刑事の探偵に依頼するべきなのか?
探偵事務所は数多く存在しますが、元刑事の探偵が不正調査に強いのには明確な理由があります。
捜査のプロフェッショナル
元刑事である総合探偵事務所アルシュの探偵は、警察で長年、詐欺・横領・贈収賄といった知能犯の捜査にも携わってきました。私たちは、人の行動や証拠のわずかな違和感から真実を見抜く「プロファイリング能力」と、徹底した「聞き込み・尾行の技術」を身につけています。
法的知識と冷静な判断力
不正調査では、個人情報保護法やプライバシー権など、法的知識が不可欠です。警察官職務執行法など厳しい法的制約下で捜査を行ってきた経験から、適法な範囲内で最大限の効果を出す方法を熟知しています。感情的になりがちな不正調査において、冷静かつ客観的な視点で事案を捉え、法的に有効な証拠を収集することができます。
外部ネットワークと情報網
長年のキャリアで培った警察関係者や弁護士とのネットワークは、不正の解決において大きな強みとなります。万が一、不正が犯罪行為と判断された場合でも、スムーズに警察への被害届提出や告訴へと移行できるようサポートすることができます。
不正を「起こさせない」ための予防策
不正調査は、すでに発生した問題に対処するためのものですが、最も理想的なのは不正を「起こさせない」ことです。
内部統制の強化
経費精算や取引における承認フローの複数化、職務の分散、定期的な監査の実施など、不正の「機会」をなくすための体制を整えましょう。
採用時の人事調査
入社前の経歴詐称や前職でのトラブル歴を見抜くことは、不正を未然に防ぐ上で非常に有効です。関連記事:コンプライアンス遵守に必須!人事調査で企業を守る方法
従業員との信頼関係の構築
定期的な面談や意見交換を通じて、従業員の不満や悩みを聞き出す機会を設けることで、不正の「動機」を減らすことができます。
倫理観の醸成と研修
「不正は絶対に許さない」という企業の強い姿勢を明確にし、コンプライアンス違反に対する意識を高める研修を定期的に実施することで、従業員の「正当化」を許さない企業文化を築きましょう。
まとめ
従業員による不正は、企業の存続を脅かす深刻なリスクです。しかし、適切な予防策を講じ、万が一の事態に備えて専門家と連携することで、そのリスクを最小限に抑えることが可能です。
「おかしいな」と感じたとき、そのまま放置せず、まずは専門家にご相談ください。私たち元刑事の探偵は、長年の経験で培った「捜査の眼」と「解決への道筋」で、貴社を危機から守るお手伝いをいたします。
どんな些細なことでも構いません。不正の兆候を感じたら、今すぐご相談ください。貴社の安心と安全を守るために、私たちが全力でサポートします。