近年、企業のコンプライアンス違反が社会問題となるケースが後を絶ちません。 一度信用を失墜すれば、企業イメージの低下はもちろん、業績悪化、訴訟リスク、そして人材流出へと繋がりかねません。 このような事態を防ぐために、採用段階における人事調査の重要性が改めて認識されています。
探偵事務所である弊所には、企業様から従業員の採用前における身辺調査や信用調査のご依頼が数多く寄せられています。 今回は、コンプライアンス遵守の観点から、人事調査がどのように企業を守るのか、その具体的な方法と注意点について詳しく解説いたします。
目次
なぜ今、人事調査がコンプライアンス遵守に不可欠なのか?

インターネットやSNSの普及により、私たちは容易に情報を発信・取得できる時代になりました。
しかしその反面、過去の不適切な言動や隠された経歴などが明るみに出やすくもなっています。 採用選考の短い期間だけでは、応募者の真の姿や潜在的なリスクを見抜くことは困難です。
もし、過去に不正行為やハラスメントに関与した人物、反社会勢力との繋がりがある人物、あるいは重要な経歴を詐称している人物を採用してしまった場合、企業にも大きな責任が問われる可能性があります。
人事調査は、公開情報だけでは判断できない応募者の倫理観、誠実さ、過去の行動履歴、社会との関わりなどを多角的に調査することで、これらのリスクを事前に察知し、排除することを可能にします。
人事調査で具体的に何がわかる?
人事調査と一口に言っても、その範囲や方法は多岐にわたります。 ご依頼いただく企業様のニーズや状況に合わせて、最適な調査プランをご提案いたしますが、一般的には以下のような情報を収集・分析することが可能です。
経歴
職務経歴、学歴、資格などの詐称の有無を調べる事ができます。経歴の詐称は、単なる誤りや誇張と捉えられがちですが、企業にとっては様々なリスクを引き起こす可能性があります。経歴詐称による試用期間中の解雇や内定取り消しといった措置が法的紛争に発展する可能性もありますので人事調査は雇用前に行っておいた方が良いケースもあります。
人物評価
過去の勤務先や関係者など周囲からの評判、勤務態度、協調性などを調べる事ができます。
協調性や倫理観の欠如・勤務態度の悪さなどは従業員間のトラブルを招いたり業務効率の低下の原因にもなります。
信用情報の調査
過去の金銭トラブルや債務状況は、直接的には業務遂行能力と関係がないように思われるかもしれませんが、業務上の不正のリスクや精神的な不安定さなどを判断するための重要な情報となることもあります。
訴訟、トラブル歴
過去の訴訟歴、消費者センターへの苦情歴などを調べる事により過去の職務における不正行為や顧客との重大なトラブルなどが判明すれば、同様の問題を起こす可能性を示唆します。
反社会勢力との関わり
反社会勢力との関わりの有無は企業にとって厳重に警戒しなければいけない部分です。企業イメージの失墜や取引先との関係悪化、場合によっては企業が反社会勢力の資金源とみなされ捜査機関の介入や制裁を受ける可能性もあります。
SNS・インターネット上の情報
公開されている過去の言動、問題視される可能性のある投稿などを調べる事ができます。
たとえば、前職や現職の機密情報、顧客情報などを軽率に公開している場合、情報管理能力に疑問が生じるでしょう。
これらの情報は、あくまで人事調査で得られる可能性のある情報の一部です。調査の目的や範囲によって、収集される情報は異なります。しかし、これらの情報を総合的に判断することで、採用選考だけでは見抜けなかった潜在的なリスクを把握し、より慎重で適切な判断を行うことができるようになります。
コンプライアンスリスクを未然に防ぐための人事調査の活用方法
人事調査は、単にネガティブな情報を洗い出すだけでなく、企業のコンプライアンス体制を強化するための重要なツールとなります。 具体的な活用方法を見ていきましょう。
- 採用基準の見直し
- リスクの高い応募者の特定
- 入社後の不正行為の抑止
- 企業文化の醸成
- 危機管理体制の強化
それぞれ解説します。
採用基準の見直し
過去のコンプライアンス違反事例や社会的な要請を踏まえ、採用基準に倫理観や誠実さというような重要と思われる要素を明確に盛り込みます。 人事調査の結果をこれらの基準と照らし合わせることで、よりリスクの低い人材を選抜することが可能になります。
リスクの高い応募者の特定
調査によって、過去に問題を起こした可能性のある応募者や、倫理観に懸念がある応募者を特定できます。 これらの応募者に対しては、面接でより慎重な質問を行う、追加の資料提出を求めるなど、慎重な対応をとることができます。
入社後の不正行為の抑止
採用時に厳格な調査が行われることを応募者に認識させることで、入社後の不正行為に対する抑止力となります。 「見られている」という意識は、従業員の倫理観を高め、コンプライアンス意識の向上に繋がります。
企業文化の醸成
コンプライアンスを重視する企業姿勢を示すことは、従業員のエンゲージメント向上にも繋がります。 透明性の高い採用プロセスは、従業員の企業に対する信頼感を高め、健全な企業文化の醸成に貢献します。
危機管理体制の強化
万が一、採用した従業員がコンプライアンス違反を起こした場合でも、事前に人事調査を実施していた事実は、企業側の責任を軽減する要素となる可能性があります。 適切な調査を実施し、リスク回避に努めていたことを示すことができるため、社会的な理解を得やすくなります。
人事調査を実施する上での注意点
人事調査は、企業のコンプライアンス体制を強化する上で有効な手段ですが、実施にあたってはいくつかの重要な注意点があります。
プライバシーへの配慮
応募者のプライバシーに最大限配慮し、必要以上の情報を収集したり、不当な方法で情報を取得したりすることは絶対に避けなければなりません。 調査の目的を明確にし、必要最低限の範囲に留めることが重要です。
適法性の確保
個人情報保護法をはじめとする関連法規を遵守し、適法な範囲内で調査を行う必要があります。 違法な調査は、企業自身の信用を損なうだけでなく、法的責任を問われる可能性もあります。
透明性の確保
応募者に対して、人事調査を実施する可能性があること、その目的や範囲について事前に告知することが望ましいです。 透明性の高いプロセスは、応募者の理解と協力を得る上で重要です。
調査結果の適切な管理
収集した個人情報は厳重に管理し、目的外の利用や第三者への漏洩を防ぐための適切な措置を講じる必要があります。
専門家との連携
人事調査は専門的な知識やノウハウが求められるため、探偵事務所のような専門機関と連携することが不可欠です。 法的な知識や調査スキルを持つ専門家のサポートを得ることで、適法かつ効果的な調査を実施することができます。
まとめ
人事調査は、採用にかかるコストや時間が増加する可能性があるため、「コスト」と捉えられがちです。
しかし、コンプライアンスリスクが顕在化した場合の損害額と比較すれば、未然にリスクを防ぐための「守りの投資」と捉えるべきです。
信頼できる人材を採用することは、企業の持続的な成長と発展の基盤となります。 コンプライアンス意識の高い人材を採用し、健全な企業運営を行うために、人事調査の導入を真剣にご検討ください。
総合探偵事務所アルシュは、長年の経験と実績に基づき、企業様のコンプライアンスリスク低減に貢献する人事調査をご提供しております。 貴社の状況やニーズに合わせた最適な調査プランをご提案させていただきますので、まずはお気軽に総合探偵事務所アルシュへご相談ください。 共に、信頼される企業づくりを目指しましょう。




















