企業の成長戦略において、新規取引先の開拓は売上拡大や事業多角化の鍵となる重要な一手です。新たなパートナーシップは、時に爆発的なシナジーを生み出します。
しかし、その輝かしい可能性の裏には、見落としてはならない重大な「落とし穴」が潜んでいます。
「契約書さえしっかりしていれば大丈夫」「大手からの紹介だから安心だ」 そんな油断が、取り返しのつかない事態を招くことがあります。
私たちは元刑事として、事件の裏にある「まさか」を数多く見てきました。企業間トラブルも同様です。問題が表面化する前に、その兆候を掴む。「契約前」の「調査」は、未来のリスクを回避し、会社を守る最強の「盾」なのです。
本記事では、元刑事の視点から、新規取引の契約前に絶対調査すべきポイントと、その具体的な手法について詳しく解説します。
目次
なぜ「契約前の調査」が重要なのか? 新規取引に潜む5つの落とし穴

新規取引の契約プロセスにおいて、「調査」はコストや時間のかかる面倒な作業と捉えられがちです。しかし、この初期段階の「ひと手間」を惜しんだ結果、企業が被る損害は計り知れません。まずは、新規取引に具体的にどのような落とし穴(リスク)が潜んでいるのかを明確にしていきます。
売掛金未回収(焦げ付き)のリスク
頻繁に発生し、直接的な金銭的損害となるのがこのリスクです。取引開始当初は小口で支払いが良くても、取引額が大きくなった途端に支払いの延長を求められ、最終的に連絡が取れなくなる。典型的な「取り込み詐欺」の手口です。未回収となった売掛金は「損失」として計上するしかありません。
反社会的勢力との関わりのリスク
これが最も致命的なリスクと言えます。自社が知らぬ間に反社会的勢力やそのフロント企業と取引してしまうことは、各都道府県の「暴力団排除条例」に抵触する重大なコンプライアンス違反です。発覚すれば、金融機関からの融資停止、行政からの指名停止、そして何より社会的信用の失墜は免れません。
関連記事:知っていますか? 企業が反社チェックを怠るリスクと調査の必要性
実態のない会社(ペーパーカンパニー等)のリスク
登記簿上は存在するものの、実際には事業活動を行っていない「ペーパーカンパニー」や「休眠会社」を利用した詐欺も後を絶ちません。こうした企業は、脱税、マネーロンダリング、あるいは前述の取り込み詐欺の「受け皿」として利用されるケースが多く、一度契約してしまうと、問題発覚時にはすでに雲隠れしていることが大半です。
レピュテーションリスク(風評被害)
取引先が不祥事(法令違反、劣悪な労働環境、環境汚染など)を起こした場合、「あそこと取引している会社」として自社もネガティブな目で見られるリスクです。特にSNSが発達した現代では、悪評は瞬く間に拡散します。自社に非がなくても、ブランドイメージの低下や顧客離れを引き起こす可能性があります。
法令違反・許認可問題のリスク
取引に必要な許認可を相手が取得していなかった、あるいはすでに失効していた場合、その取引自体が違法となる可能性があります。また、相手方の法令遵守(コンプライアンス)意識が低い場合、将来的に不正の片棒を担がされるリスクも否定できません。
表面的な調査では不十分。元刑事が指摘する「甘い」調査とは?

「もちろん、新規取引の前には調査をしている」という企業様も多いでしょう。しかし、元刑事の我々から見ると、その「調査」が非常に表面的で、リスク回避には次のような不十分なケースが散見されます。
インターネット検索と企業HPの確認だけ
HPが立派であることと、その企業が信頼できることはイコールではありません。ネガティブな情報が検索で出ないよう、意図的に情報操作(逆SEOなど)を行っている悪質な業者も存在します。
信用情報機関(TDBやTSRなど)の「評点」の鵜呑み
信用調査機関のデータは非常に有用ですが、それはあくまで「過去」のデータや「申告」に基づく部分も多いです。急激な業績悪化や、水面下でのトラブルは反映されていない可能性があります。評点が良くても倒産する企業は存在します。
紹介者(既存取引先)の話を無条件に信じる
「〇〇さん(大手)の紹介だから大丈夫だろう」という判断はとても危険です。紹介者自身も、その企業の表面的な部分しか知らず、場合によっては(悪意なく)騙されている可能性もあります。
犯罪者や詐欺師は、「隠す」ことのプロです。同様に、問題を抱えた企業もまた、自らに不都合な情報を巧みに隠蔽します。表面的なデータや体裁の良い言葉だけを信じていては、彼らの「裏の顔」を見抜くことは決してできません。
契約前に絶対調査すべき5つのポイント

では、具体的に「どこ」を見れば、新規取引のリスクを最小限に抑えられるのでしょうか。元刑事として捜査で培った「裏付け」と「現場主義」の観点から、契約前に絶対調査すべき5つのポイントを解説します。
ポイント1:商業登記簿(履歴事項全部証明書)の「裏」を読む
登記簿は企業の戸籍です。法務局で誰でも取得できますが、見るべきは社名や住所だけではありません。
- 役員の頻繁な変更
短期間に代表取締役や取締役が入れ替わっている場合、内部で深刻なトラブルがあるか、名義貸しの可能性があります。
- 本店の不自然な移転
短期間に本店所在地が転々としている場合、過去のトラブルから逃れるため、あるいは実態をくらますためかもしれません。
- 事業目的の羅列
事業目的に、関連性のない多種多様な業種が節操なく羅列されている場合、実態が伴っていないか、ペーパーカンパニーの可能性があります。
ポイント2:代表者・役員の「人物」調査(バックグラウンドチェック)
会社は「人」です。特に代表者や担当役員の信頼性は、取引の根幹に関わります。
- 過去の経歴・訴訟歴
公開されている経歴に詐称はないか。過去に同種企業を設立しては倒産させていないか。民事・刑事問わず、訴訟を抱えていないか。
- 反社チェック
単なるデータベース照会だけでなく、人的な繋がりや交友関係も含めて調査します。
- SNS等での発信
公の場での発言や思想は、その人物のコンプライアンス意識を測る一つの指標となります。
ポイント3:「現場」の確認(物理的な実態調査)
これは元刑事の「足で稼ぐ」捜査が最も活きる分野です。登記簿上の住所に、本当にその企業は存在し、活動しているのでしょうか。
- オフィスの実態確認
登記簿上の本店所在地を訪問します。そこが単なるバーチャルオフィスや雑居ビルの一室で、表札も出ていない、人の出入りが全くない、といった場合は要注意です。
- 稼働状況の確認
工場や倉庫がある場合、実際に稼働しているか、従業員はいるか、在庫は適正か。電話応対の様子(社名を名乗らない、担当者がいつも不在など)も重要な情報です。
- 「張り込み」による実態把握
必要であれば、数日間にわたり人の出入りや来訪者、車両などを確認し、申告通りの事業活動が行われているかを内偵します。
ポイント4:取引先(仕入先・販売先)の「評判」調査(ヒアリング)
データには現れない「生きた情報」こそが、リスク判断の鍵を握ります。元刑事の「聞き込み」技術は、こうした情報収集に最適です。
- 周辺企業へのヒアリング
オフィスの近隣や、同業他社に対し、その企業の評判(「あの会社、最近羽振りが良すぎる」「夜逃げ同然で移転してきた」など)を聞き込みます。
- 既存取引先へのヒアリング
もし判明すれば、その企業の仕入先や販売先に「支払い状況(手形の期日、遅延の有無)」「納品の品質」などを確認します。
- 従業員の評判
従業員の離職率が極端に高い、元従業員から悪評が絶えない、といった情報も、経営体質を見極める重要な判断材料です。
ポイント5:財務状況の「深掘り」
決算書が入手できれば分析しますが、入手できない場合でも、調査で得た情報から財務状況を推測します。
- 資産状況
不動産(自社ビルか賃貸か)、車両、設備などの実態を確認します。
- 資金繰りの噂
「最近、金融機関の出入りが激しい」「手形が不渡りになったらしい」といった噂は、聞き込みによって得られることがあります。
元刑事の探偵事務所が「新規取引調査」で選ばれる理由
私たちのような元刑事で構成された探偵事務所が、法人の「新規取引調査」において強みを発揮できるのには理由があります。
捜査で培った「疑う目」と「仮説構築力」
私たちは、刑事時代の捜査経験から、人の「嘘」や「隠し事」を見抜く力が培われています。提供された資料や言葉をただ鵜呑みにせず、「なぜ、このタイミングでこの話が来たのか?」「この情報の裏にある意図は何か?」と常に仮説を立て、客観的な事実(ファクト)に基づいて検証します。
合法的な「聞き込み」と「内偵」の技術
インターネット検索やデータベース照会は、今や誰でもできます。
私たちが提供する価値は、そこから先の「生きた情報」です。警察時代に培ったコミュニケーション技術で、警戒心を抱かせずに重要な情報を引き出す「聞き込み」。そして、合法の範囲内で対象の実態を掴む「内偵(張り込み・尾行)」。これらは一朝一夕で身につくものではありません。
まとめ
新規取引は、企業にとって大きなチャンスです。しかし、その契約書にサインする前に、一度立ち止まってください。その「チャンス」が、会社を揺るがす「クライシス(危機)」の入り口になっていないでしょうか。
「新規取引」の契約前に「調査」を行うことは、コストではなく、自社の未来を守るための必須事項です。
「この取引、少し違和感がある」「紹介者の手前、断りづらいが不安だ」「自社の調査だけでは限界がある」
もし少しでもそう感じたら、それは重要なサインかもしれません。「あの時、調べておけば…」という後悔をする前に、私たち専門家にご相談ください。
元刑事の「確かな目」と「調査力」で、御社が安心してアクセルを踏めるよう、見えないリスクを徹底的に洗い出します。
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