「面接での受け答えは完璧。経歴も素晴らしい。しかし、本当に信頼できる人材だろうか?」
採用活動において、多くの経営者様や人事担当者様が、このような最終判断の難しさに直面します。書類や短い面接時間だけでは、候補者の本質的な能力や人間性を見抜くことには限界があるのです。
私が警察官として様々な人物の「裏の顔」を見てきた経験、そして現在、探偵として企業の採用リスクに関するご相談をお受けする中で確信していることがあります。それは、採用のミスマッチが、企業にとって深刻な脅威の一つであるということです。
この脅威を回避する有効な手段が「前職調査(リファレンスチェック)」です。しかし、「勝手に前職に連絡したら違法になるのでは?」「プライバシーの侵害だと訴えられないか?」といった法律に関する不安から、実施に踏み切れない企業様が非常に多いのが実情です。
そこで本記事では、元刑事としての知見を基に、「前職調査」が違法になるケースと、合法的に実施するための正しい手順を、詳しく、分かりやすく解説します。
この記事を最後までお読みいただければ、コンプライアンスを完全に遵守しながら、採用候補者を深く、正確に理解するための具体的な方法が身につくはずです。
目次
そもそも前職調査(リファレンスチェック)とは?なぜ必要なのか

前職調査とは、一般的に「リファレンスチェック」とも呼ばれ、採用候補者の前職での実績、勤務態度、スキル、人物像などについて、共に働いていた元上司や同僚に問い合わせて確認する調査を指します。
なぜ、手間と時間をかけてまで前職調査を行う必要があるのでしょうか。その理由は、採用における「不確実性」を可能な限り排除するためです。
経歴詐称・スキル詐称のリスク検知
履歴書や職務経歴書に書かれた内容が、事実と乖離していないかを確認します。「プロジェクトリーダーとして貢献」と書かれていても、実際にはメンバーの一人に過ぎなかった、というケースは少なくありません。
関連記事:【経営者・採用担当者必見】経歴詐称のリスクと致命傷になる前の対策|探偵による雇用調査ガイド
「リアルな働きぶり」の把握
面接では誰もが良い自分を演じます。しかし、チーム内での協調性、プレッシャーへの耐性、報告・連絡・相談の徹底といった、実際の業務における行動特性は、共に働いた第三者だからこそ語れる貴重な情報です。
カルチャーフィットの見極め
候補者の価値観や働き方が、自社の文化や風土に合っているかを見極めます。能力が高くてもカルチャーフィットしなければ、早期離職に繋がる可能性が高まります。
採用コストの損失回避
採用した人材がすぐに辞めてしまえば、採用活動にかけた費用や時間、教育コストが全て無駄になります。前職調査は、こうした採用ミスマッチを防ぐための「保険」とも言えるのです。
前職調査は「本人の同意」がなければ違法

本記事で最も重要な結論から申し上げます。
「採用候補者本人からの明確な同意を得ずに、無断で前職の企業や元同僚に問い合わせる行為は、個人情報保護法に抵触する明確な違法行為」です。
「少し話を聞くだけなら…」という軽い気持ちで行うことは、絶対に許されません。なぜなら、前職での勤務態度、実績、評価といった情報は、第三者が保有する極めて重要な「個人データ」に他ならないからです。
個人情報保護法 第27条では、個人データ(この場合は前職での評価など)を第三者に提供する際、「あらかじめ本人の同意を得ないで、個人データを第三者に提供してはならない」と定められています。
つまり、情報を「提供する側」(前職の企業や元上司)も、「取得する側」(採用企業)も、候補者本人の同意なく情報のやり取りをしてはならないのです。
正しい「同意」の取り方とは?
では、どのように同意を得れば良いのでしょうか。トラブルを避けるために、以下の点を必ず守ってください。
タイミング
内定を出す前、最終面接の前後など、採用プロセスの後半で実施するのが一般的です。
方法
口頭での確認だけでなく、必ず書面で同意を得ることを強く推奨します。「前職調査(リファレンスチェック)実施に関する同意書」といった書面を用意し、調査の目的、調査を行う機関(自社の人事部か、委託する調査会社か)、取得する情報の内容、リファレンス先(問い合わせ先)などを明記し、候補者本人に署名・捺印をしてもらいます。
説明義務
なぜ調査が必要なのかを丁寧に説明し、候補者の理解と納得を得ることが、円滑な採用活動と信頼関係の構築に繋がります。
同意があれば何でも聞ける?質問内容の「違法ライン」

無事に本人から同意書を取得できたとします。これで一安心、とばかりに、あらゆることを質問して良いわけではありません。質問内容にも、法律によって定められた明確な「境界線」が存在します。
ここで重要になるのが職業安定法 第5条の4です。この法律では、労働者の個人情報を収集する際は、「その業務の目的の達成に必要な範囲内」で行わなければならない、と定められています。
つまり、「自社で働く上での適性や能力に関係のない個人情報」を収集することは、たとえ本人の同意があったとしても不適切であり、就職差別に繋がりかねないため、厳に慎むべきです。
【OK】合法かつ適切な質問例
- 事実確認: 「〇〇様は、2020年から2024年まで、貴社で営業部長として在籍されていたということでお間違いないでしょうか?」
- 実績・スキル: 「〇〇様がリーダーを務めた△△プロジェクトでの、具体的な役割と成果についてお聞かせいただけますか?」
- 業務遂行能力: 「チームでの協調性や、後輩への指導についてはいかがでしたか?」
- 強み・弱み: 「〇〇様の仕事における最大の強みと、今後改善を期待する点があれば教えてください」
- 勤怠状況: 「勤務態度や、遅刻・欠勤の状況についてはいかがでしたでしょうか?」
【NG】違法または不適切な質問例
要配慮個人情報に関する質問
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- 「病気で長期休暇を取られたことはありますか?」
- 「ご家族の国籍や出身地についてご存知ですか?」
本人の責任のない事項に関する質問
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- 「ご実家の資産状況について、何かお聞きになったことはありますか?」
思想・信条に関する質問:
-
- 「労働組合の活動に熱心でしたか?」
- 「尊敬する人物は誰だと話していましたか?」
これらのNGな質問は、応募者の適性・能力とは無関係であり、採用選考に用いると就職差別に直結する恐れがあります。絶対に避けてください。
よくある疑問を元刑事が斬る!前職調査Q&A
ここでは、人事担当者様から実際に寄せられることの多い疑問について、Q&A形式でお答えします。
| Q1. 候補者から前職調査を拒否されました。不採用にすべきでしょうか? |
| 拒否されたこと自体を、直ちに不採用の理由とすべき必要はありません。 無理強いは厳禁です。まずは、なぜ拒否するのか、その理由を丁寧にヒアリングすることが重要です。
例えば、「前職に転職活動を知られたくない」「円満退社ではなかったので、協力が得られそうにない」といった正当な理由があるかもしれません。その場合は、リファレンス先を別の人(同僚や、さらに前の職場の上司など)に変更してもらうといった代替案を検討しましょう。理由も述べずに頑なに拒否する場合は、何か隠していることがある可能性も視野に入れる必要がありますが、あくまで慎重な判断が求められます。 |
| Q2. 探偵に依頼すれば、本人の同意なしでもこっそり調べられますか? |
| いいえ、絶対にできません。そして、そのような依頼を請け負う業者は100%悪徳業者です。
私たちのようなコンプライアンスを遵守する探偵事務所は、ご依頼いただく企業様が、候補者本人から適法な形で同意を得ていることを大前提として調査をお引き受けします。 探偵の役割は、違法な手段で秘密を暴くことではありません。人事担当者様に代わり、プロのヒアリング技術を用いて、客観的で、より深掘りされた有益な情報を引き出すことにあります。 |
| Q3.前職の会社が「個人情報なので」と、情報提供を断ってきました。 |
| 近年、個人情報保護への意識の高まりから、社内規定でリファレンスチェックへの協力を一律で禁止している企業も増えています。これは仕方のないことです。
この場合も、候補者本人に事情を説明し、協力をお願いするのが最善手です。例えば、会社の公式な窓口ではなく、元上司の方に個人的な見解として協力してもらえないか、候補者から直接お願いしてもらう、といった方法が考えられます。 |
採用の精度を高める「探偵への依頼」という選択肢
ここまでお読みいただき、合法的な前職調査のハードルの高さを感じられたかもしれません。そこで有効な選択肢となるのが、私たちのような専門の調査会社(探偵事務所)の活用です。
- 圧倒的な客観性: 第三者である探偵が調査を行うことで、感情的なバイアスや先入観を排除した、客観的な情報を得ることができます。
- 卓越したヒアリング技術: 元刑事として培った尋問・質問の技術を応用し、相手が話しやすい雰囲気を作りながら、核心に迫る質問を投げかけ、回答の裏にあるニュアンスや真意まで汲み取ります。
- コンプライアンスの専門家: 個人情報保護法や各種法令を熟知しており、どこまでが合法でどこからが違法かを正確に判断。企業様を法的なリスクから守ります。
- 人事担当者様の負担軽減: 多忙な人事担当者様に代わって、リファレンス先とのアポイント調整からヒアリング、報告書の作成までを一貫して行い、コア業務に集中できる環境をご提供します。
まとめ
前職調査は、採用ミスマッチという企業経営における静かなる脅威から会社を守るための、非常に強力なツールです。
しかし、その成功の鍵は、 ① 候補者本人からの明確な「書面による同意」 ② 応募者の適性・能力にのみ焦点を当てた「適切な質問」 この2点を徹底して守ることに尽きます。
もし、あなたが採用候補者の経歴に少しでも不安を感じていたり、採用の最終判断に確信が持てなかったりするのであれば、決して一人で悩まずに、私たち専門家にご相談ください。
私たちは、元刑事としての誇りを持ち、法律を遵守したクリーンな調査をお約束します。貴社にとって最高の「人財」を見つけ出すための、最後の砦となれれば幸いです。
採用に関する調査のご相談は無料です。まずはお気軽にお問い合わせください。
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