付郵便送達とは?どこまで調査が必要? 付郵便送達を認めてもらうための所在確認

「貸したお金を返してもらえない」「慰謝料を支払ってもらいたい」…法的な手続きを進めようにも、相手が裁判所からの訴状や通知を受け取らず、一向に話が進まない。そんな経験はございませんか?

元刑事の探偵として、これまで数多くの「人の居場所」に関する調査に携わってきました。事件捜査の現場でも、法的な手続きの入り口でも、相手の所在が分からなければ何も始まりません。特に、民事訴訟において相手が意図的に書類の受け取りを拒否するケースは、泣き寝入りに繋がる深刻な問題です。

そんな八方塞がりの状況を打開する強力な法的手段が『付郵便送達(ふゆうびんそうたつ)』です。

しかし、この強力な手段は、簡単に認められるものではありません。裁判所に対して、「相手がその場所に住んでいる蓋然性が極めて高い」ことを、客観的な証拠をもって証明する必要があります。

この記事では、元刑事探偵の視点から、以下の点を詳しく解説していきます。

  • そもそも『付郵便送達』とは何か?
  • 裁判所はなぜ厳しい調査を求めるのか?
  • 付郵便送達を認めてもらうために『何をどこまで調べる』必要があるのか?
  • 調査は『自分でやる』べきか、プロに依頼すべきか?

訴訟を前に進められずにお困りの方、付郵便送達を検討している方は、ぜひ最後までお読みください。

目次

【基本のキ】裁判を進めるための切り札、付郵便送達とは?

まず、『付郵便送達』とは何かを理解しましょう。

裁判の原則は「手渡し(交付送達)」。それができない時の手段

民事訴訟では、訴状などの重要な書類は、裁判所の書記官が「特別送達」という特殊な郵便で相手方の住所に送り、直接手渡す「交付送達」が原則です。これは、裁判が始まるという非常に重要な事実を、確実に相手に知らせるためです。

しかし、現実には様々な理由で送達ができないケースが多々あります。

  • 居留守を使う
  • 受け取りを頑なに拒否する
  • 住民票の住所には住んでおらず、行方が分からない

このような状態が続くと、いつまで経っても裁判を始めることができません。ここで登場するのが、交付送達ができない場合の例外的な送達方法です。

付郵便送達の強力な効力

付郵便送達とは、簡単に言えば「裁判所が書類を発送した時点で、相手方に送達されたものとみなす」という制度です(民事訴訟法第107条)。

つまり、相手が実際に書類を手にしていなくても、法律上は「受け取った」ことになります。これにより、相手の意向に関わらず、裁判手続きを強制的に進めることができるのです。被告が欠席したまま判決が下される「欠席判決」となれば、原告の主張が全面的に認められる可能性が非常に高くなります。

「公示送達」との違いは?

付郵便送達と混同されがちなのが「公示送達」です。この二つの違いは決定的です。

  • 付郵便送達:相手の居住地は判明しているが、居留守などで受け取らない場合に利用する。
  • 公示送達:相手の居住地、就業場所、その他一切の連絡先が不明で、全く手がかりがない場合の最終手段裁判所の掲示板に一定期間掲示することで送達したとみなす方法。

付郵便送達は、「そこにいるはずなのに受け取らない」という状況で使われるのに対し、公示送達は「どこにいるか全く分からない」という、より深刻な状況で使われます。当然、認められるためのハードルも公示送達の方が高くなります。

付郵便送達を認めてもらうための『所在確認』

付郵便送達が強力な手段であるからこそ、裁判所はその適用を慎重に判断します。なぜなら、相手が知らないうちに裁判が進み、反論の機会を失うという、相手方にとっては非常に酷な結果になりかねないからです。

そのため、申立人(訴えを起こす側)は、「相手がその住所に居住している蓋然性が高いにもかかわらず、送達に応じない」という事実を、客観的な証拠で証明する責任を負います。

単に「住民票上の住所だから」という理由だけでは、絶対に認められません。

なぜなら、住民票を移さずに引越すケースは珍しくないからです。裁判所が求めるのは、その住所に「生活の実態」があることの証明です。

その証明のために作成・提出するのが『調査報告書』です。

何をどこまで調べる?調査報告書に盛り込むべき必須項目

刑事事件の捜査でも、対象者の行動確認や生活実態の把握は基本中の基本です。それは、この付郵便送達のための所在確認調査でも全く同じです。以下に、裁判所に提出する調査報告書に記載すべき、具体的な調査項目を挙げます。

現地での確認調査(複数回・時間帯を変えて実施)

一度だけの調査では不十分です。平日と休日、昼と夜など、曜日や時間帯を変えて複数回現地を訪れ、「継続的に生活している」ことを示す証拠を集めます。

  • 建物の外観写真…表札や部屋番号がわかるように撮影します。
  • 表札の確認…相手の氏名が記載された表札があるか。手書きの小さなものでも見逃しません。
  • 郵便受け・ポストの状態…氏名の表示はあるか。郵便物やチラシが溜まっていないか。(溜まっていると空き家の可能性)最近投函されたと思われる郵便物はないか。
  • 電気・ガス・水道メーターの確認…メーターは動いているか。デジタルメーターであれば数値が変動しているか、アナログメーターであればパイロット(円盤)が回転しているか。これらのメーターの写真は、報告書において極めて強力な証拠となります。
  • 生活感の確認…
    • 窓が開いている、カーテンが動く、洗濯物が干されている。
    • 夜間に室内の明かりが点灯している。
    • エアコンの室外機が稼働している。
    • 自転車や自動車など、本人が使用している乗り物の有無。
  • インターホンの応答…呼び鈴を鳴らし、応答があるかを確認します。(送達時に居留守を使っている証拠になり得ます)

聞き込み調査

聞き込みは、元刑事の腕の見せ所でもあります。ただ聞くだけでなく、相手に警戒心を与えずに有益な情報を引き出す技術が求められます。また、相手のプライバシーのためにも聞き方には注意が必要です。

近隣住民への聞き込み

    • 「〇〇さんという方はこちらにお住まいですか?」
    • 「最近、〇〇さんをお見かけになりましたか?」  など

アパート・マンションの管理会社や大家への聞き込み

    • 居住の事実はあるか。
    • 家賃の支払いは滞りなく行われているか。
    • 最近、本人と連絡を取ったことはあるか。  など

家族や親族への聞き込み

  • 「最近、引越しをしていませんか?」
  • 「何時ごろ帰宅しますか?」 など

※聞き込み調査は、身分を偽ったり、相手に不安を与えたりする方法は許されません。あくまで自然な形で、かつ目的を達成するための高度なスキルが必要です。

こういった調査の結果を、いつ、誰が、どこで、何を、どのように確認したかを時系列で詳細に記録し、撮影した写真などを添付して客観的な『調査報告書』としてまとめる事が大切です。

調査は『自分でやる』?それとも『探偵』に依頼する?

付郵便送達に必要な調査を自分で行えば『費用を抑えられる』と考えるのは自然なことです。

ただし、次のようなデメリットがある事も覚えておかなければいけません。

自分で調査を行うデメリット

調査の質が担保できない

裁判所が求めるレベルの客観的証拠を、素人の方が集めるのは至難の業です。調査が不十分と判断され、付郵便送達が認められない可能性があります。

時間と労力の浪費

平日・休日、昼夜を問わず何度も現地に足を運ぶ必要があり、本業や日常生活に大きな支障をきたします。

法的リスク・トラブルの発生

聞き込みの際に不審者と間違えられ、警察を呼ばれるケースは少なくありません。また、やり方次第では盗撮や不法侵入を疑われたりストーカー規制法やプライバシー侵害に抵触するリスクも伴います。

精神的負担

相手に会ってしまうかもしれない恐怖や、思うように進まない焦りは、想像以上に大きなストレスとなります。

結果として、付郵便送達が認められず、費やした時間と労力が無駄になり、結局プロに依頼することになるケースが後を絶ちません。

付郵便送達の調査を探偵に依頼する場合のメリット

一方で、我々のようなプロの探偵、特に元刑事の探偵に依頼する場合、次のようなメリットがあります。

圧倒的な調査能力と報告書のクオリティ

私たちは、裁判所に提出することを前提とした調査を行います。どのような証拠が有効か、どのような報告書の書き方をすれば裁判官に伝わるかを熟知しています。元刑事としての経験から、些細な痕跡から生活実態を読み解き、写真などの客観的証拠を確実に積み重ねていきます。

合法かつスムーズな調査

探偵業法を遵守し、法的なリスクを回避しながら調査を進めます。聞き込みにおいても、長年の経験で培ったスキルで相手の警戒心を解き、必要な情報を的確に引き出します。

時間と精神的負担からの解放

面倒で困難な調査はすべて我々にお任せください。また、弁護士に法的な手続きを依頼することにより、あなたは平然と日常を送る事ができます

成功率の向上

 プロが作成した質の高い調査報告書を提出することで、裁判所が付郵便送達を認める確率が格段に上がります。結果的に、それが裁判を有利に進める最短ルートとなるのです。

探偵の付郵便送達調査のデメリットとして費用面があげられるかと思います。しかし、費用は掛かりますが、それは「時間」と「確実性」を買うための必要経費とお考えいただけると思います。訴訟で取り戻したい権利の大きさを考えれば、決して高い投資ではないはずです。

私たちのような専門の探偵事務所には、弁護士や司法書士の先生方から直接、付郵便送達や公示送達のための所在調査をご依頼いただくケースが数多くございます。法曹界のプロが認める調査品質が、私たちの誇りです。

『どうせ無視される…』『どこに住んでいるかわからない…』そう諦めるのはまだ早いかもしれません。弁護士や私たち探偵へ一度ご相談ください。

【FAQ】付郵便送達の調査に関するよくある質問

Q1. 調査にはどれくらいの期間がかかりますか?
A1. ご依頼いただく時点での情報量や対象者の警戒度にもよりますが、通常は1週間~2週間程度で裁判所に提出できるレベルの報告書を作成することが可能です。
Q2. 弁護士に訴訟代理を依頼していますが、探偵にも別に依頼する必要があるのですか?
A2. はい。弁護士の先生は法的手続きのプロですが、現地での張り込みや聞き込みといった実地調査は基本的に行いません。そのため、多くの弁護士の先生が、我々のような探偵と連携して訴訟を進めています。
Q3. 調査が失敗に終わることはありますか?
 A3. 相手が既に海外に転居しているなど、物理的に調査が困難なケースも稀にございます。しかし、元刑事としてのノウハウを駆使し、あらゆる角度から調査を行うため、極めて高い成功率を誇ります。まずは無料相談にて、可能性についてご相談ください。

まとめ

付郵便送達は、相手の不誠実な対応によって停滞した状況を打開し、あなたの正当な権利を実現するための非常に有効な手続きです。

しかし、その扉を開く鍵となるのは、緻密で客観的な『所在確認調査』に他なりません。

刑事の仕事は、地道な捜査で証拠を一つひとつ積み上げ、真実を明らかにしていくことです。それは、探偵の所在調査においても全く変わりません。あなたの「困った」を解決するために、我々が培ってきた経験とスキルは必ずお役に立てると確信しています。

「相手が訴状を受け取ってくれない」「どこまで調査すればいいのか分からない」

もし、あなたがそんな壁に突き当たっているのなら、一人で悩まずに、まずは私たちにご相談ください。あなたの正義が、理不尽に踏みにじられることのないよう、全力でサポートすることをお約束します。最初の一歩を踏み出す勇気が、未来を大きく変えるのです。

 

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