経営者や人事担当者を深く悩ませる問題の一つに、社員の「職務怠慢(しょくむたいまん)」があります。
「営業に出た社員がサボっている噂を耳に…」「体調不良と言って毎日遅刻してくる社員がいるが、どうも元気に見える」といったご相談は、探偵事務所にも寄せられます。
職務怠慢は、単にその社員一人の生産性が下がるだけでなく、真面目に働いている他の従業員のモチベーション低下や、最悪の場合は企業の信頼失墜にまで発展する危険な問題です。しかし、腹が立ったからといって感情的に処分を下すと、後になって「不当解雇」や「パワハラ」として会社側が訴えられるリスクも潜んでいます。
本記事では、職務怠慢の具体的な行動例から、問題社員に対する正しい処分の方法までを徹底解説します。
目次
職務怠慢とは?放置するリスクと「職務専念義務」

職務怠慢とは、労働者が雇用契約によって定められた業務を真面目に行わず、怠けることを指します。
労働契約において、社員は就業時間中、仕事に集中しなければならないという「職務専念義務」を負っています。職務怠慢は明確な契約違反(債務不履行)であり、就業規則に基づく懲戒処分の対象となり得る行為です。
【職務怠慢を放置する3つのリスク】
- 業績への直接的な悪影響: 支払っている給与に対する労働対価が得られず、人件費の無駄になります。
- 周囲の士気低下と連鎖: 「あの人がサボっているのに、なぜ自分だけ」と、真面目な社員の不満が爆発し、離職や怠慢の連鎖を招きます。
- 重大なコンプライアンス違反への発展: 怠慢がエスカレートすると、経費の不正請求や情報漏洩など、より深刻な犯罪行為に繋がるケースが多々あります。
【場面別】職務怠慢の具体的な行動例

「何をもって職務怠慢とするか」は、客観的な基準が必要です。
ここでは、よくある職務怠慢の具体的な例を4つのカテゴリに分けて紹介します。
① 勤務態度・勤怠における怠慢の例
最も表面化しやすく、周囲の目につきやすい職務怠慢です。
- 無断欠勤や頻繁な遅刻・早退: 正当な理由なく遅刻や欠勤を繰り返す。
- 業務中の居眠り: 体調不良や薬の副作用などの正当な理由がないにもかかわらず、頻繁に居眠りをする。
- 離席時間が異常に長い: トイレやタバコ休憩と称して、30分以上席に戻らないことが1日に何度も続く。
② 業務遂行中の私的行為の例
社内にいるものの、仕事に集中していないケースです。テレワークの普及により、見えにくくなっている問題でもあります。
- ネットサーフィンやスマホの私的利用: 業務と関係のないニュースサイトの閲覧、SNSの更新、スマホゲームなどを長時間行う。
- 過度な私語: 業務に関係のない雑談で周囲の仕事の邪魔をする。
- 会社の備品の私的利用: 会社のパソコンやプリンターを使って、私的な文書を作成したり副業の作業を行ったりする。
③ 指示違反・業務放棄の例
上司の指示に従わず、自身の業務を放棄する悪質なケースです。
- 指示された業務をやらない: 期限を守らない、または「自分の仕事ではない」と正当な理由なく業務を拒否する。
- 報告・連絡・相談(ホウレンソウ)の意図的な無視: トラブルが発生しているのに隠蔽したり、虚偽の報告を行ったりする。
- 意図的な手抜き作業: 品質基準を満たしていないにも関わらず、適当に終わらせて業務に支障をきたす。
④ 外回り・営業社員によるサボり(※探偵への依頼が最多)
直行直帰や外回り営業など、上司の目が届かないところで発生する職務怠慢です。
- パチンコ店や漫画喫茶での時間潰し: 営業車でパチンコ店の駐車場に何時間も滞在する。外回り中に不倫相手との密会が発覚するようなこともあります。
- 自宅に帰って寝ている: 外回りと偽り、自宅に戻って昼寝や私用を済ませている。
- 架空の営業報告(虚偽報告): 実際には訪問していない顧客を訪問したように日報を偽造し、交通費や経費を不正に受給する(※これは詐欺罪・横領罪に問われる可能性もある重大な行為です)。
社員が職務怠慢していた時の「正しい処分の方法」

職務怠慢が発覚した際、「すぐにクビだ!」と解雇を言い渡すのは絶対にNGです。日本の労働法では労働者が強く保護されており、適切なプロセスを踏まない解雇は「不当解雇」とみなされ、莫大な損害賠償を請求される恐れがあります。
正しい処分のステップは以下の通りです。
ステップ1:客観的で言い逃れのできない「証拠」を集める
元刑事として断言しますが、「疑い」だけで処分を下してはいけません。
本人が「やっていません」「勘違いです」と言い逃れできない確固たる証拠が必要です。
- 社内の場合:PCのログ(閲覧履歴や操作履歴)、タイムカード、監視カメラの映像、周囲の社員からのヒアリング記録。
- 外回りの場合:GPSの記録、業務日報との矛盾点、そして探偵による素行調査(尾行・撮影)の報告書。など
ステップ2:口頭・書面による「注意・指導」を繰り返し行う
証拠が揃ったら、まずは本人を呼び出して事実関係を確認し、改善の機会を与えます。
重要なのは、「指導したという記録(客観的証拠)を残すこと」です。
- 最初は口頭で注意し、議事録やメモを残す。
- 改善が見られなければ、メールや書面(指導書・警告書)で通達し、本人に受領のサインをさせる。
- 定期的な面談を実施し、改善の機会を与えたことを会社側の記録として積み上げる。
ステップ3:就業規則に基づく「段階的な懲戒処分」を下す
再三の指導にもかかわらず職務怠慢が改善されない場合、会社の「就業規則」に則って懲戒処分を検討します。処分は軽いものから段階的に重くしていくのが原則です。
| 処分の段階 | 内容の解説 |
|---|---|
| ① 戒告・譴責(けんせき) | 始末書を提出させ、将来を戒める最も軽い処分。 |
| ② 減給 | 労働基準法の範囲内で給与を減額する処分。 |
| ③ 出勤停止 | 一定期間の出勤を禁じ、その間の給与を無給とする処分。 |
| ④ 降格 | 役職や職位を引き下げる処分。 |
| ⑤ 諭旨解雇・懲戒解雇 | 最終手段。退職を勧告するか、即時解雇とする最も重い処分。 |
「指導を繰り返したが改善の見込みがない」というプロセスを踏むことで、万が一裁判になった際にも、会社側の処分の正当性が認められやすくなります。
外回り社員の職務怠慢の証拠集めは「元刑事の探偵事務所」へ

社内で完結する職務怠慢であれば、パソコンのログや上司の監視で証拠を掴むことができます。
しかし、営業職や外回り社員のサボり、虚偽報告の証拠を社内の人間だけで掴むのは極めて困難です。
素人が尾行をすればすぐにバレて警戒され、パワハラやプライバシーの侵害だと逆上されるリスクもあります。
もし、「営業車の走行距離がおかしい」「成績が急激に落ちているのに外回りばかりしている」といった疑念があるなら、元刑事が運営する当探偵事務所にご相談ください。
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まとめ
職務怠慢の例は、頻繁な離席や居眠りといった社内でのものから、外回り中のパチンコや虚偽報告など多岐にわたります。経営者として大切なのは、見て見ぬふりをせず早期に対処すること、そして感情的に罰するのではなく「確固たる証拠」に基づき「段階的な指導と処分」を行うことです。
問題社員の行動に悩まされている、あるいは法的に有効なサボりの証拠を押さえたいとお考えの経営者様・人事ご担当者様は、手遅れになる前に、証拠収集のプロフェッショナルである私たちに一度ご相談ください。
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